3月12日の沖縄BON!!:特集「歩く喜びをもう一度~CBブレース~」
全国に1,200万人いると言われている「変形性膝関節症」
日本人の10人に1人はその病気に苦しんでいる。
そんな膝に悩みを抱えている人たちに,歩く喜びを取り戻してもらおうと開発された装具がある。
それが「CBブレース」だ。
作ったのは義足や義肢を制作する職人、佐喜眞義肢の佐喜眞保(さきまたもつ)(63歳)だ。
従来型の膝関節装具は連結部分が膝の上下についているが、
「CBブレース」は膝の後側にもってくるというアイデアで大きな違いを生み出した。
膝の支柱性は損なわれず、太ももとふくらはぎの筋肉は自由に動かせるという仕組みだ。
これにより、膝はしっかり固定しながら筋肉を動かせることで膝の負担が大幅に減り、歩きやすさが増したのだ。
さらに、形状が従来型と比べシンプルなため、圧倒的な軽量化に成功した。
現在製造している最新の製品はカーボン繊維強化プラスチックを使ったもので、
摩耗や腐食に強く、世界最軽量の軽さ(約150g。従来型は500〜800グラム)を実現した。
「誰もが考えそうで、誰も思いつかなかった画期的な装具」…「CBブレース」
2001年文部科学省「文部科学大臣賞」、2005年第1回ものづくり日本大賞「経済産業大臣賞」に輝いた。
「CBブレース」は驚くほどの装着感、そしてしっかりと関節を補助する機能から、
「変形性膝関節症」に苦しむお年寄りだけでなく、アスリートのリハビリ用装具としても使われ始めている。
プロ野球で活躍した稲葉篤紀選手(肘)、Jリーグで活躍した北澤豪選手(膝)、
プロレスラーの葛西純選手(両膝)はリハビリの補助具として「CBブレース」を使った。
一昨年4月、佐喜眞義肢は金武町に移転し、本格的にアスリートのための装具を手がけ始めている。
今年中には大手繊維メーカーとの共同開発によるスポーツウェアの新素材を使った「CBブレース」が製品化されるという。
今までインナーの上から装着していた装具を直接肌の上に装着できるという、まさにウェア感覚の画期的な装具だ。
さらに、コンピューター制御によるインソールの制作やモーションキャプチャーを使った動作解析の設備を整え、
最先端の技術で既成概念を超えた新たな装具の開発も進行している。
この開発は慶応大学スポーツ医学総合センターの松本秀男教授との共同開発だ。
松本教授はスポーツ医学における日本の第一人者で、
現在もヤクルトスワローズのメディカルコンディション作りを任されているスポーツドクターだ。
佐喜眞はこの共同開発で、どんな装具を作り上げるのか…その現場を視つめる。