第544回番組審議会

2022年6月10日（金）

琉球放送の第544回番組審議会は6月10日金曜日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のために会議は行わず、各委員からのレポートによって審議を実施した。審議番組は「復帰50周年　報道特番　池上彰と復帰50年を総決算スペシャル」で、意見の概要は以下の通り。

●豊富な映像資料と池上彰氏の丁寧な解説によって復帰の足取りを追う番組。若い人々へのメッセージが込められているとともに、これからの沖縄を考える契機となっていた。

●沖縄の復帰記念番組にも関わらず、池上さんがレクチャーする形式の番組になっていたのは疑問。世界的な視座から俯瞰的に「復帰」をとらえていたことを評価したい。若い世代のコメントに頼もしさを感じた。

●池上さんファンや若い視聴者にも見てもらえるような明るい印象の番組で、分かりやすい解説や偏りのない情報も評価したい。一方で、沖縄の若者が池上さんから復帰のことを教えてもらう構図は少し寂しい気がした。

●池上さんの理路整然と核心をつく表現や、視聴者とゲストに問いかけて考えさせながら進行する様子が素晴らしい。仲田紀久子アナとのコンビネーション、ゲストの人選もよく、全国で放送されることに期待したい。

●出演者から率直な意見を引き出していたこと、県外国外の事象とシンクロさせていたこと、イラストを多用したやわらかい演出などが成功の理由。池上さんの総括がサラッと終わっていたのが惜しい。

●池上さんの司会は話題性もあって分かりやすく、視聴者を惹きつけた。復帰をめぐる歴史が説明され理解を助けた一方で、盛りだくさんの展開は着いていくのに苦労した。

●復帰・戦争体験世代にとっても記憶を整理することのできる良い番組。基地上空からの空撮やメースＢ基地取材など、目に見える形で沖縄の現状を示したところを評価したい。土地闘争を軽んじるようなゲストの発言は残念だった。

出席委員
幸喜徳子・宮城邦治・三島わかな・成底勇人・富名腰徹・伊東和美・森田美奈子