第543回番組審議会
2022年5月13日(金)
琉球放送の第543回番組審議会が5月13日金曜日に琉球放送11階会議室で開催され、「HOPE50 沖縄返還に賭けた二人 佐藤栄作と屋良朝苗」(1992年5月制作、2022年4月25日再放送)について審議が行われた。
意見の概要は以下の通り。
●復帰後世代が過半数を占めるようになった現在、あらためて復帰の経緯を知らせてくれる時宜を得た番組。返還交渉の内幕に驚かされるとともに、屋良朝苗主席の苦悩も伝わってきて見応えがあった。
●復帰の重要局面に関わってきた人物たちの姿や肉声によって当時の状況をリアルに感じることができた。30年前の番組を再放送した理由をナレーションなどで加えると意図がより理解できただろう。
●復帰の立役者である佐藤栄作氏・屋良氏の尽力と当時の政治状況を描いており、歴史の大きなうねりを感じさせた。一方で、50年経っても変わらない現実があることも突きつけられた。
●表層的なサクセスストーリーではなく、市民が与り知らないところで事態が進む政治の恐ろしさ、政治家のしたたかさを描いていた。返還交渉のアーカイブとしての価値も高い。
●復帰をめぐる佐藤氏と屋良氏の立場や政策、さらに一人の人間としての「思い」に迫っており、見応えがあった。山中貞則氏の人間味を感じさせる映像にも引き込まれた。
●自治神話論やベトナム戦争など、復帰に至る流れまでを丁寧に描いて理解を助けていた。佐藤氏が、復帰の立役者として名を残そうと狙ったこと、基地機能の維持を図ったという事実を鑑みるとタイトルには違和感があった。
●米軍上陸や銃剣とブルドーザーなどの映像で、米軍政下の沖縄がどういう状況だったかも伝えていた。復帰交渉の内情という重要な歴史を後世に残す力作であった。
出席委員
幸喜徳子・宮城邦治・三島わかな・成底勇夫・富名腰徹・伊東和美・森田美奈子