第540回番組審議会
2022年2月18日(金)
琉球放送の第540回番組審議会は2月18日金曜日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のために会議は行わず、各委員からのレポートによって審議を実施した。
審議番組はラジオドラマ「最後の恋文 ディレクターズカット」で、意見の概要は以下の通り。
●沖縄戦で人生を狂わされた若き人々の悲しみや苦しみを、手紙という心の声を通して伝えており、身近なところに同じような人生があるかもしれないと想起させる物語だった。
●明るいテイストながら内省的でメッセージ性が高く、プロットの素晴らしさを感じた。役柄に合わせた言葉遣いが良いが、年配役のウチナーグチがデフォルメされていた点は気になった。
●ラジオドラマの良さをあらためて感じた。しっかりした起承転結によりリスナーを驚かせ、考えさせるものになっていた。事実婚などの要素によって時代の変化を表現していたのもよかった。
●諸見里杉子さんの多彩な才能に感銘を受けた。局側の、戦争の記憶を残し伝えたいという使命感や、戦争を知らない世代にも伝わる方法を模索したいという姿勢も評価したい。
●映像が浮かぶような臨場感のある内容。ドラマと対談という2本立ての構成にすることで最後まで惹きつけるとともに、語り継ぐ大切さ、伝える努力の必要性もうまく引き出していた。
●手紙の謎が解き明かされていく場面はドキドキして聴き入った。戦後70年が経ってもサチさんが責められ続けるのは違和感があり、苦労した戦争体験者への「救い」がほしかった。
●戦場となった沖縄の、表には出てこない複雑な一面を表現する意義深い番組。音響効果も魅力的だった。「自分なりに戦争について伝えて残したい」という諸見里さんの言葉に共感する。
審議委員
幸喜徳子・宮城邦治・三島わかな・成底勇人・富名腰徹・伊東和美・森田美奈子