第534回番組審議会
2021年6月11日(金)
琉球放送の第534回番組審議会は6月11日金曜日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のために会議は行わず、各委員からのレポートによって審議を実施した。
審議番組は「ムーブ 土の記憶~還らざる島・伊江島の肖像~」で、意見の概要は以下の通り。
●阿波根昌鴻氏の活動や資料館などを紹介しながら、かつて土地闘争に参加した平安山親子の、冷静な語り口とマグマのような怒りを取り上げることで、いまだに終わらない伊江島の現状を見せていた。
●米軍に土地を奪われた女性たちの歌声によって説得力を感じさせた。基地反対派だけではなく容認派の声も拾うことで総合的に問題をときほぐしてほしい。
●伊江島での悲惨な戦闘、現在まで続く土地収用の問題を描いており、土地闘争の体験者の思いを映像で残すことの意義が感じられた。
●県民にもあまり知られていない伊江島での土地強制接収を取り上げ、その理不尽さを描いた優れた番組。「土地を取り上げるのは死ねということ」という平安山さんの言葉が印象的だった。
●復帰五十周年を前にした時宜を得た番組。長期にわたる土地接収の問題について、阿波根さんの資料から記憶を丹念に呼び戻すことで、今ある現実の不条理を強く訴えていた。
●伊江島の人々の「生きんがための闘い」を描いていた。伊江島が「島ぐるみ闘争」の出発点となったとの説明や視点が必要。基地をめぐり住民を二分したのは誰か、基地依存を深めた背景にも切り込んでほしい。
●軍用地と民間地混在の現実を示唆する映像から始まるなど、構成が巧みであった。阿波根さんの資料をひもといての解説は理解しやすく、闘争体験者の証言によって説得力が出ていた。落ち着いたナレーションも好印象。
参加委員
幸喜徳子・宮城邦治・三島わかな・成底勇人・富名腰徹・伊東和美・森田美奈子